2011年12月25日日曜日

クリスマスのお話



Christmas Every Day
William Dean Howells,1837-1920


昔々ある所に、クリスマスが大好きな女の子がいました。

ある日、女の子は「毎日がクリスマスだったらいいのに」

と思いつきました。11月の感謝祭が終わると、妖精の所

に、何通も何通も手紙を書きました。           

「お願いです。どうかクリスマスが毎日続くようにして下さい。」

クリスマスの前の晩、妖精から手紙が届きました。



「貴方の望みをかなえましょう。1年間だけ毎日がクリスマスに

しましょう。そして1年が過ぎたら、2年目も3年目もクリスマスで

いいか、あらためて相談しましょう。」


クリスマスの朝が来ました。たくさんのプレゼント、たくさんのご馳走

次の朝も、またその次の朝も、靴下に入りきれない程の贈り物と

食べきれない程のご馳走やお菓子が並びます。

「そうだわ!これから、毎日がクリスマスなんだわ」

女の子は、妖精との約束を思い出し、とても嬉しくなりました。



こんな事が1週間も続くうちに、みんな不機嫌になっていきました。

バレンタインデーもエイプリルフールもクリスマスなのです。

七面鳥も足りなくなりました。クリスマスツリーにする木をどんどん

切り出すので、山や森が禿げていきました。

そのうち、どこの家でも暮らしに困るようになってしまいました。

半年経つと女の子は、プレゼントを観るのも嫌になっていました。

女の子は、頭がおかしくなり、とうとう声も出なくなりました。



やがて、クリスマス・イヴがきました。女の子は、再び妖精に

頼みました。「もう二度と、クリスマスがこないようにして下さい。」

すると妖精は、「本当にいいのかい?気をつけないと大変だよ。」

女の子はよく考えてみました。

1千年に一度のクリスマス?  百年に一度のクリスマス?

「いいえ、やっぱり一年に一度のクリスマスがいいわ♪」

すると妖精はにっこりと笑いながら言いました。

「それがいいだろう。クリスマスを初めて祝った時から、

クリスマスは一年に一度という決まりだったんだからね。」



女の子は、大喜びで家に帰って行きました。

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