2010年8月22日日曜日

シートン想う夏

(産経新聞)
オオカミ王のロボ、灰色グマのジャック、綿尾ウサギのぎざ耳小僧…などは、アーネスト・シートンによって書かれた動物物語である。
 今年は、シートン生誕150年の年に当たっている。1860年8月、英国に生まれ、青年期をカナダで過ごした後、米国に移住し、1946年に他界している。
 動物記の主人公たちは、非常に生き生きと描かれている。シートンの作品は、野生動物と人間との距離を縮めた。けものや鳥たちにも生きる論理があり、気高ささえも備えていることを、文学の形で教えてくれた。
 現代の動物行動学や生態学の源流に位置づけられる業績である。シートンは画家であり、博物学者でもあった。並の動物学者の枠を大きく超えたナチュラリストであったのだ。
 彼の活動時期は、米国の西部開拓時代と重なっている。7千万頭のアメリカバイソンは、狩猟で一時期、絶滅寸前となった。
 渡りの季節には空を埋めつくすほどいたリョコウバトも乱獲で、19世紀末に絶滅している。
 代表作であるロボの物語も、ニューメキシコで牧場の牛を襲っていた大きなオオカミをシートン自身が捕獲したときの体験に基づくものである。
 1世紀前に米国で起きた野生動植物への圧迫の嵐が、今では世界人口の増大により、地球規模で吹き荒れている。熱帯林の乱伐や海の魚類の乱獲も収まらない。
 約40億年の地球生命史上、生物の大量絶滅がこれまでに5回、起きている。隕石(いんせき)の衝突などが原因である。
 現在進行中の絶滅は、6回目の異変となりそうな趨勢(すうせい)である。シートンのころは1年間に1種程度の絶滅であったのが、このごろでは、1年に4万種というとてつもない速度になっている。
 いろいろな動植物が互いに関係し合って生きていく生物多様性の劣化である。

 今年10月には名古屋市で、人類の生存基盤を維持するための生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催される。その意識を持って、シートンの動物記の世界を想(おも)ってみるのはどうか。

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シートンのイラスト(絵)を見て、とても驚きました。シートンって獣医さんだっけ?というくらい、動物の構造や生態を熟知されていました。その上で書く絵は、とてもリアルで正確でした。
ロボは、私にとっても永遠の名作です!

ロボは実在したオオカミですが、1962年にディズニーが実写版で映画化しています。
日本語訳のVHSはないので、英語のVHSを持っています。当時、CGのない時代ですからオオカミかウルフドッグが演じていると思います。とても完成された作品で、驚きます。

また、リメイクしないかな~~とずっと待っています!

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