2010年8月26日木曜日

オランウータン

オランウータン 日本の消防ホースで救え 森林伐採で危機
(毎日新聞)

 森林伐採で生息地が分断され、種の存続が危惧(きぐ)されるオランウータンを救うためマレーシア・サバ州の河川に架設された「つり橋」を野生のオランウータンが渡ったことが確認された。日本のNPO「ボルネオ保全トラストジャパン」(BCTJ、坪内俊憲理事長)が現地州政府などと協力して設置したもので、日本の消防ホースを再利用し、日本国内の動物園で培った飼育技術が生かされている。既に2号橋も設置され、野生のオランウータン救済策として期待が高まっている。

 同州キナバタンガン川下流域はアブラヤシ農園の開発で森林伐採が進み、森が分断されてオランウータンの生息領域が侵され、保護区を行き交うことも困難になった。英国・カーディフ大学は、自由に移動できないと遺伝子が均一化し子供がうまく育たず、50年後の生存の可能性はほとんどないとしている。

 こうしたことから、現地のフランス人研究者、イザベラ・ラックマン・アンクレナスさんは、孤立したオランウータンたちが行き来できるよう幅約20メートルの川をロープやチェーンでつないだが、成果はなかった。

 試行錯誤の中、アンクレナスさんは、東京都日野市の多摩動物公園で消防ホースを自在に操って遊ぶオランウータンに関心を寄せた。ロープより太いことなどからオランウータンとの親和性が高いとみたアンクレナスさんは、消防ホースを再利用したつり橋を検討。同園の黒鳥英俊さん(58)=現上野動物園=と、千葉県市川市にある市川市動植物園の水品繁和さん(43)の協力を得た。

 1号橋は08年4月、キナバタンガン川支流のメナンゴール川に架設し、BCTJの小川光輝さん(36)、直子さん(30)夫妻が手作りの無人監視カメラを確認のため設置。2年余りたった今年6月。オランウータンがつり橋を渡る姿を撮影することに成功した。BCTJの森井真理子事務局長は「撮影で分断をつなぐことが証明できた」と話している。

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